奴隷
最近SNSで、「ブックカバーチャレンジ」というのをよく見かけます。人それぞれ個性が出ていて、興味深く拝見しています。
ここ1,2カ月、私も時間があったので、溜まっている本を読み始めています。いつもは、感性の合う小説家の作品が多いのですが、今回は、時間のある時にしか読めないものにも挑戦しています。
その一つが「奴隷」という小説。とっても読み辛い作品です。
二部作で、「工場」と共に、岩波文庫から出ていますが、小説の舞台はおよそ100年ほど前。日本が富国強兵を叫んでいた時代です。明治以前の、小作と地主という関係が、職工と資本家に形を変え、搾取する者とされる者との悲哀を描いた、作者の自伝的な小説です。書店で、帯に惹かれて買って帰ったものの、当時の言葉やその意味が理解しづらくて、しばらく積んであった作品でしたが、コロナ禍で、社会構造が100年前に戻ってしまうのかもしれないという危機感から、ようやく手に取って読み始めることができました。
この小説の中で。労働者たちは、まさに奴隷のような扱いを受け、寄宿舎と言う名の牢屋に閉じ込められ、一日14時間も15時間も働けど、資本家に全て搾取され、食べていくのが精いっぱい。今の、そしてこれからの日本の姿を暗示しているように感じました。
今日たまたま「21世紀の資本」という映画が紹介されていて、記事の中で、山本周五郎の「赤ひげ診療譚」という小説の一節が紹介されていました。
「人間がいったん権力をにぎれば、必ずその権力を護るための法が布かれ、政治がおこなわれる、いついかなる時代でもだ」という小説の中の言葉は、今の日本の社会構造、とりわけ政治トップのふるまいとぴったり重なり、少し怖いような驚きを感じました。
「歴史に学ぶ」―これまで繰り返されてきたことを、学び、同じ悲劇が繰り返されないことを願います。
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